「天災は忘れたころにやってくる」
大きな災害のたびに繰り返される格言は物理学者・寺田寅彦博士(1878~1935)の言葉です。

寺田寅彦博士は東京で生まれ、3歳~18歳まで両親の故郷である高知市で過ごしました。
進学先の第五高等学校(熊本)では夏目漱石の教え子となり、交流を深めました。
漱石の『吾輩は猫である』の水島寒月、『三四郎』の野々宮宗八は寺田寅彦博士がモデルだといわれています。

東京帝国大学を卒業後、日本の「X線結晶学の元祖」と言われる業績を残し、また、地球物理学においても優れた実績を残しています。
そして中谷宇吉郎を始めとした優秀な研究者を多数育てました。

さらには、彼を「日本のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と呼ぶ人もいるほど、俳句、随筆、小説、音楽、絵画、映画評論など多くの分野で活躍しました。

このように多方面で活躍した寺田寅彦博士は、NHKの朝の連続テレビ小説『らんまん』(2023年放送)の主人公のモデルである牧野富太郎博士とも交流がありました。
寺田寅彦記念館の正門には、牧野富太郎博士による『寺田寅彦先生邸址』と『天災は忘れられたる頃来る』の文字が刻まれています。

ところで、これだけ多方面で活躍したにも関わらず、地元の人でさえ寺田寅彦博士を十二分に理解できているとは言えない状況です。

寺田寅彦博士の口癖は「ねぇ君ふしぎだと思いませんか」でした。
そして博士の生涯は、誕生前の幕末に起きた「永福寺門前事件(井口事件)」に親族がかかわったこと、家庭内での不幸が相次いだことなどがあり、波乱万丈な面もありました。
様々なことに興味と疑問を持ち、探求心をもって取り組んだ寺田寅彦博士の生涯がドラマ化されれば、お茶の間の視聴者を魅了すると考えられます。

また、近年、各地で水害や地震などの自然災害が多数起きています。
大きな被害をもたらすことが予想される南海トラフ巨大地震も近いうちに発生するといわれています。
博士の「天災は忘れたころにやってくる」という言葉を脳裏に刻んで常に心構えるためにも、ドラマ化は効果があると思われます。

生誕150周年に向けて「寺田寅彦博士を朝ドラで顕彰しよう!」という運動を私たちと一緒にしませんか!